「盗まれた雷撃 パーシー・ジャクソン ミュージカル」

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2022.09.26 「盗まれた雷撃 パーシー・ジャクソン ミュージカル」観劇レポート

嗚呼、楽しかったな~。
観劇後の感想は、この言葉に尽きる。
もう少し言葉を重ねるなら、「観た」というより「体験」だろうか。次から次に最高潮の波が訪れるアトラクションに乗って、パーシーとともに冒険をしたかのような2時間半(休憩入れて)。

思えばそれは、開演前から始まっていた。客席が闇に沈み、舞台上に光が差し込むことから始まる作品が多い中、本作は客席が青い光に包まれてから開演するのだ。綺麗な青が、海の神ポセイドンの息子、パーシーの物語へと私たちを誘う。

日本に住む多くの人間にとって、オリンポスの神々やギリシャ神話は縁遠い存在のように思う。かくいう私も、その一人。「ゼウス」という言葉だけは、これまで出あってきた小説、漫画、映画、ゲーム……etc.によって、かろうじて知っていたくらい。そのゼウスにしても、どのような存在で、どのような生い立ちで、という部分は知らなかった。お恥ずかしい限り。「トイレの神様」のほうが、まだ馴染みが深い。

こんな状態で、「盗まれた雷撃 パーシー・ジャクソン ミュージカル」を楽しめるのか? 少々不安を抱えていたが、開始数分で心配は吹き飛んだ。なぜなら、主人公であるパーシー当人が、“何もわかっていない人の代表”として、そこに居てくれたからだ。
パーシーの周囲で当たり前のように交わされる異世界の会話、ポンポンと飛び出る神々の名前、その一つひとつにパーシーが戸惑い、驚き、頭上に「?」を浮かべてくれる。こんなに心強いナビゲーターがいるだろうか。しかも、そのパーシーこそが、神を親に持つ“半神半人”というのだから、客席にいる私たちにはもう、怖いものはない(余談だが、見知らぬ横文字が出てきたら、神様か怪物の名前だと思っておけば、だいたい間違いはない)。

あとは作品の世界に没入するのみ。「コメディ」と銘打っているだけあり、クスッとしてしまう会話や、その表現?!とニンマリしてしまう小道具などなど、楽しい仕掛けのオンパレード。あえて(と想像するが)リアリズムを追求しない演出が、観劇という非日常を存分に盛り上げてくれる。

さらに、本作を語る上で欠かせないのが20曲を超えるミュージカルナンバー。その全てに、圧倒的な「熱」を感じる。グランドミュージカルの常連をはじめ、さまざまな分野で第一線を走るキャストが集っているのだから、当然といえば当然か。これは、絶対に生で体感してほしい。
そんな彼らがコーラス(というには贅沢すぎる)立ち位置で、パーシーの冒険を応援する。舞台のそこかしこで、まるで観客の代弁者であるかのように、パーシーとともに居てくれているのだ。気づけば自分も、作品の一部になっている。不思議な感覚。冒頭に記した「体験」の源は、ここにもあるのかもしれない。
もちろん、各キャストの見せ場もたっぷりとあるので、二重三重に嬉しい。劇場をあとにしてからも、頭の中に本作のナンバーが響き続けるという、悩ましくも嬉しい体験ができることだろう。

疾走感のある冒険コメディ。この疾走感が、そこいらのスピードではない。ジェットコースターは、降りた瞬間にもう一度乗りたくなる。本作も同様。何度でも観たい、何度でも体験したい。気になった神様の名前を調べていったら、もっともっと楽しめるはずだ。さて、どこから手をつけよう。


テキスト:鈴木梨恵



【東京公演】2022年9月21日(水)~10月5日(水)有楽町よみうりホール
【京都公演】2022年10月9日(日)、10月10日(月・祝) 京都劇場


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